プロジェクト紹介
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3年続けてきたホップ栽培のその先が見えた・・・?(前編)
『やってみなはれ。やらなわからしまへんで。』
この言葉はサントリー創業者であり、ビール業界に新しい風を吹かせたといわれている大阪出身の実業家、鳥井信治郎氏が残した名言です。そんな精神でスタートしたホップ栽培の先の未来について今回はお話したいと思います。
栽培当初は、ホップは冷涼地でしか育たないといわれていて、できたところで私たちには醸造先の知り合いもいない環境でした。なのに、
「フレッシュホップでビールをつくってみたい!」
「みんなとビールで乾杯することで社会課題の解決ができないかな」
「やってみないとわからない!」
「なんか楽しそう!」
「なんかいける!」
そんな裏付けもない中、直感だけで私たちの『無謀な挑戦』(ホップ栽培)が始まりました。
※2017年ウメキタホップクルー『ゼロ』チーム(立ち上げメンバー)。
ブリューパブテタールヴァレ前にて、松尾オーナーと。
「やってみないとわからない!」「なんか楽しそう!」
その裏には、「出来ても出来なくても自分の責任」というリスクと、「自らが主体的に動く、誰の責任にもしない」という責任を背負うことを意味しています。
それからの活動は、1日足りとも休みなくホップ圃場のあるうめきた2期暫定利用地へ通いました。晴れの日は朝晩2回。雨の日、風の日は飛ばされないかと2名体制で毎日確認にいきました。作業の多い時は、南大阪、東大阪、北大阪他からうめきたまでお手伝いをしてくれる仲間がいました。
その後、ブリュワーとの出会いや、6ヶ月後にホップの毬花が咲き始めたこともあり、フレッシュホップをつかったビールづくりが始まりました。
フレッシュホップでつくったビールの完成披露会をした時は、“うれしかった”という記憶より、期待と協力をいただいた仲間たちへの『感謝』をカタチにして表す1歩を踏み出せたと、ホッと胸をなでおろしたことを思い出します。その後、フレッシュホップを仕込んだビールをもってみんなで乾杯した時は、素直に「やってみてよかった」と思いました。
ホップ栽培活動を始めた私たちと時同じくして、2017年。
梅田の隣駅にある淀屋橋(道修町)のビルで屋上ワイナリー「大阪スカイハイ・ヴィンヤード」は、ぶどうからワインをつくる活動を始めておられました。
代表の祐田尚紀さんと私たちとの出会いは1本の電話から始まりました。
※写真は、「大阪スカイハイ・ヴィンヤード」の屋上ワイナリーの様子
祐田さん:「はじめまして。同じような活動をされていることを知って電話しました。ぶどうとホップ、栽培する種類は違っても何か協力し合えることができるのではないかと思いまして。」
祐田さんは「ぶどうからワインづくり」、私たちは「ホップからビールづくり」という違いはあるものの、活動した時期も同時期でお互い『乾杯』だけが目的ではない。
こんな偶然の一致を知った以上は電話越しで事足りるわけもなく、当日のうちに会う約束をし、7時間後にはビールで乾杯していました。
※写真左、祐田さん。毎週木曜日はブリューパブセンターポイントの日。行けば誰かに会えるホップクルーにとっては部室のようなお店。この日も、約束していないのに時間差で集まったクルーたちと机を共にする。
祐田さんが行っている屋上ワイナリー「大阪スカイハイ・ヴィンヤード」は、「地球温暖化対策」、「廃棄物のリサイクル」という2つの観点から『ワインを飲んで世界規模の環境問題を解決する』ことを目的とした企業、市民がブドウの木1本のオーナーになれるという制度。
屋上ワイナリーを開始する前、祐田さんが一番最初に訪問したのは世界で最初の屋上ワイナリーといわれている”Rooftop Reds”(ニューヨーク・ブルックリン地区)。
※写真上下とも、ニューヨーク・ブルックリン地区にある屋上ワイナリー、”Rooftop Reds”
“Rooftop Reds”では、毎月定例のイベント(ヨガ、映画上映、BBQパーティーなど)を開催し、多くの人がワインを通した文化交流を目的に屋上ワイナリーに訪れているそうです。
「大阪スカイハイ・ヴィンヤード」はNYブルックリンの”Rooftop Reds”より技術面での提携を受け、大阪とNYの両拠点で環境問題に取り組む仲間として活動しています。
祐田さんの、『世界規模を見据えながら地域で行動する』(Think globally, act locally.)グローカルな活動を知り、ホップでも全世界と地域を同時に見据えた新しい価値づくりをしてみたいと思うようになりました。
祐田さんとは「また近いうちにお会いしましょう」と部室(ブリューパブセンターポイント)を後にしました。
【後編へつづく⇒】
文:山田摩利子(一般社団法人うめらく・THANKS HOP ウメキタホップクルー代表)