プロジェクト紹介
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ツーリzoom No.6 なら人×奈良本地区(長野県飯綱町)の旅
第6回目は、ナビゲーターの藤原さんと同じく長野・飯綱町にお住まいの外谷淳弥さん。飯綱町の奈良本地区で生まれ育った、生粋のなら人。ツーリzoomVo.3で奈良本の魅力をブッシュクラフトの田中さんが紹介してくださいました奈良本第2弾!
長野・飯綱奈良本エリアへ、ツーリzoom!
奈良本エリア(長野県飯綱町)はどんなところ?
(外谷さん)
奈良本は、飯綱町の東の端にあります。アクセスは自家用車で上信越自動車道の豊田飯山インターから車で5分。新幹線では北陸新幹線で飯山駅より車で15分~20分ぐらいの場所に位置しています。
今日はコミュニティ、農業、野生動物、シードルという4つのテーマで奈良本の活性化と魅力を発信しながら、来訪者移住者を増やす活動をご紹介したいと思います。
1つめ、奈良本の「コミュニティ」について
奈良本は全体でも31軒という小さな集落です。
奈良本の仲間たちと、なら人(ならびと)というチームを結成して、奈良本の魅力を発信するコミュニティをつくりました。
なら人では、飯綱町の東の秘境で『学び』『遊び』『創る』をテーマに、ふと帰りたくなるような懐かしい原風景を残し、訪れる人達が体験を通じて楽しみながら学び創造する場所を提供するのをコンセプトとしています。
そして、新しいビジネスと新しい観光資源づくりを目指しています。
奈良本ホームページもよかったら見てくださいね!
ちなみに奈良本にある全31軒のうち、僕と同じ「外谷」(とや)さんという苗字でお米やりんごで生計をたてている人が8軒もありますが、親戚ではありません(笑)お父さんお母さんも複数人いるだけではありませんw(外谷さん談)
2つめ、奈良本の「農業」について
前回のツーリzoomでも登壇した、なら人仲間である田中さんは、自然を楽しみながら学びブッシュクラフトを紹介してくれたので、私は「農業」についてお話します。
奈良本の特産は、りんごとお米です。飯綱町は全国でも有数の美味しいお米の産地です。
その飯綱町の中でも奈良本は構造改善のなされていない、昔ながらの小さく、いびつな形の棚田があります。稲作をしている方以外はほとんど車が通らず、したがって、排気ガスも最小限であるというのが特徴です!
「まあ、その先に車で行ける気がしないだろうな、、、」と思うようなところなので(笑)
そんな車のすれ違いが大変な道の先にある田んぼには、清らかな水が流れ込み、澄んだ空気により育ったお米があり、『特A』地域に指定されています。
もちろん、ファームトヤのお米も検査を受け『特A米』です(^^)
さらに、飯綱町はりんごの産地としても知名度があります。
その中でも、ここ奈良本地区は知る人ぞ知るりんご栽培の最適地です。
ところで、皆さんは全国放送のNHKの『うまいッ!』と言うテレビ番組はご存知ですか?
2018.12放送の『NHKうまいッ!』蜜たっぷりサンふじ〜長野県 飯綱町〜に出演させて頂きました。
りんごの栽培や美味しいりんごの見分け方など、ここ奈良本の私の園地からお届けしましたのでよかったら(アーカイブされている記事を)見てみてください。(番組名のリンクをクリックしてください)
3つめは、奈良本の「野生動物」について
奈良本でおおよそ10年前からの困り事は野生動物です。
・リンゴの木の枝を鹿が食べてしまう。
・花芽が無くなってしまうのでりんごが成らない。
・猪が畑の芋を掘り起こし、水田に入って稲を倒してしまう
などの被害があります。
昔の奈良本は、たまにタヌキを見かける、それ以外は野良猫を見る位でしたが、今では、野生の鹿や猪やカモシカや狐やハクビシンなどが!どんどん増えてやってきます。
対策としてはまず電気の柵を貼りました。
最初は電気柵に捕まった動物は、猟銃を持っていっている人に仕留めてもらい、そのまま連れて行ってもらいましたが、専門家の人に聞くと、併用で個体数を減らさないとダメだと言われたので、平成26年にワナの狩猟免許を取得。次第に猟師が高齢のため大変だからと色々お手伝いをするようになり、今では解体作業までお手伝いすることにもなりました。
解体に立ち会った最初のころは肉を食べたくなくなりましたが、彼らの命を奪って私たちは生かされている事を目の当たりにしました。私たちが普段食べている牛や豚や鶏なども誰かがこの解体という作業をしてくださっていた事に感謝しかありませんという気持ちになりました。
しかし、最近では慣れですね。上手にしっかりとした血抜き処理をした野生動物は臭みも無く、美味しいですよと言えるようになってきました。
私は狩猟は趣味ではなく、農地を守るために行っております。昨年、1キロほど山際に物理柵を設置しました。柵を設置したところは全く被害が出ませんでした。こういった対策をとりながら農地を守っています。
4つめは、奈良本の「シードル」について
果物の旬は短く、一年中食べられると言うわけではありません。しかし、生で食べておいしい時期以外にも、美味しく食べることができる方法として加工食品があると思っています。ファームトヤではジャムやジュースそして、シードルをつくっています。お酒は大人の楽しみの1つですよね!
今年は写真のようなイベントも企画していましたが、今回の状況下で来年以降に延期となりました。
いつかみなさんにも春の奈良本にきてもらって、りんごの花をみながらシードルを飲みたいと思っています。
ある日、こんなエピソードがありました。
飲食店さんにシードルを置いていただこうとお話をしていた時の事です。
「お酒は儲かるよね。だってくずりんごを使って絞るんでしょ?材料費は格安じゃん。」
そう言われたことがあります。
私は、「うちでつくっているシードルは、そのまま生食で売れば良いと加工施設の方に言われるほどのリンゴで作っていて、材料がなんだかわからないような物とは違います。」と答えたことがあります。
つまり、自分で飲みたい物かどうか、納得いく材料でつくったかということが重要です。
そんな想いでつくった自信作の『トヤのシードル』ぜひご賞味ください。
【トヤシードルの商品紹介】
長野県 飯綱町の北東端に位置する山あいの小さな集落、奈良本。
ここは飯綱町の中でも特に雨が少なく、知る人ぞ知るりんご栽培の最適地です。
ファームトヤは、この地で代々りんご農園を営んできました。
減農薬で育てるりんごは、味と安全性はもちろん、その美しさにもこだわっています。
私たちがこのりんごで目指すのは、秘境『奈良本』のテロワールを感じるシードルづくり。
りんごのイメージを裏切るキリッと潔い辛さと、あとに広がるやさしい香りをお楽しみください。
WILD and GENTLE.これがトヤのシードル!
ドヤ!!️
ファームトヤHP
https://farm-toya.shopinfo.jp/
今回の旅、みなさんはどのように感じましたか?
今回の一連の流れは、まさに今、私たちが忘れてかけている本来の『循環社会』縮図そのものだと思いました。最初、外谷さんは「害獣を退治する」という考えで頭を悩ませていたといいます。
でも外谷さんは、彼らの解体作業をして気付いたといいます。”彼らは害をもたらすだけの獣ではない”
山が荒れ、その結果、昔のように山の中には彼らが食べるものがないから山からおりてきている。彼らの大切な命をしっかり次につなげていこう。それぞれの役割を全うし、みんなで持続する地域として守っていこう。
そして、外谷さんは自分の商品を販売するルートとして一番好きな形は、「直販」とおっしゃってました。理由は、消費者の喜ぶ声が聞こえたら「今日も頑張ろう!」と思えるからだと。
今、奈良本では新しいビジネス、新しい観光資源づくりを開始されておられます。
外谷さんは、「生産~加工~消費」という消費社会の一連の流れをすべて現場で実際に経験されてきた方なので、奈良本に行けば『循環社会』の本来の仕組みを学べることでしょう。
そんな『学び』『遊び』『創る』を実践されている長野県飯綱町の奈良本地区。いつかいってみたいと思いました。
文:山田摩利子